RAISEMICによる 高精度対話処理
AI意味論理推論 (Reasoning by Artificial Intelligence SEMantic logIC: RAISEMIC: レイズミック)は、意味解析とグラフ論理に基づいた自然言語処理です。これまでの自然言語処理では、まず文を構成する文字群を辞書に登録されている語に分割する形態素解析を行い、次に文節間の係り受け(依存)関係を決定する係り受け解析を行います。最後に、得られた解析木に対して、応用ごとに解を導き出すために組みたてられた解法論理を適用して、回答や要約文や分析結果を出力しています。この論理は、手続きやルールベースや最近では深層学習で得られるニューラルネットワークで記述されます。しかし、これらの手法の大きな欠点は、文に表現されている意図が係り受け木と形態素で表現されており、語の意味にまで抽象化されていないので表記の揺れが大きいため(意図がいろんな言い方で表現されているため)、手続きやルールベースによる解法論理の記述は非常に複雑になり事実上作成できないことが多く、また深層学習を用いた場合も解法論理を汎化できないことが多く学習事例とはずれると回答精度が極端に悪くなります。ただ、翻訳と音声認識においては、正解事例が網羅的かつ圧倒的に多く存在することと解候補の範囲がそれほど大きくないことで、深層学習手法は成功しています。 RAISEMICによる自然言語処理は、係り受け解析の後に、係り受け木の各文節内の各語(形態素)にその意味を表わす語意を割り当て、さらに文節間の係り受け関係にその役割的意味(深層格)を割り当てる意味解析を行います。この語意と深層格が与えられた係り受け木を意味グラフと呼び、そこでは文が表す意図が意味レベルで表現され、表記の揺れが解消されています。さらに、2文の意図の類似性をそれぞれの意味グラフの共通部分グラフの大きさとして計算できるので、これを基に応用ごとの解法論理をこれまでになく正確かつ容易に記述できるようになりました。この結果、質問応答システム raiseAnswerでは637質問に対して1位正解率(出力回答の1位が正解の割合)が平均99%を超える圧倒的精度を達成しています。同様の効果は、意味検索、チャットボット、対話システム、QAシステム、自動要約、対話ロボットなどでも大いに効果を発揮します。